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カルチャー・旅行・試行錯誤

夜は香り来たる

香港旅行ブログ
 お父さんと三泊四日の香港旅行にいってきたのでそのレポです。香港旅行といいってもお父さんの旧知の知人に会うとかで若干仕事の関連もありますが、親子水入らずで楽しんできました。

 タイトルは夜来香(イェライシャン)という花の名前です。李香蘭山口淑子)のヒット曲なので、香港というより上海なんですけど、好きな曲なので…リンクは原曲の音が割れていたので上戸彩さんカバーのものです

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 わたしはハーフ(いまはハーフじゃなくて、ミックスとかダブルっていうみたいですね)で、母がフィリピンの人なんですが、父と出会ったのは仕事先の香港だそうで、わたしが生まれたのも香港です。

 あと二ヶ月生まれるのが早かったらイギリス領香港生まれって言えたんですが、九龍地区の病院に生まれたそうです。生まれたというだけで特に関わりもないんですが、二十歳になったし、自分のルーツを知る機会にもなるかとおもっての旅です。

 

 旅に当たって死ぬほど真面目なお父さんが娘との旅行に日程表を作ってくれました。せっかくなので、日程表をアップします。ほんとに大体この日程表の通りに巡りました。これ、大サビなので何回でも言いたいんですが、修学旅行かよ………

 

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<1日目>
 初日にして香港ではなく中国に入国しててナンジャコリャというかんじですが、私も小学校の時分から多少関わりのある父の知人とごはんと食べに蛇口へ。

 

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(これは香港から蛇口へ行く途中の海です)

 蛇口はシンセンと読み(らしい)、その昔はライチの林と野菜だけど赤土の土地だったものが軽工業の工場地帯として栄え、近年になって根付く人が増えておおきくなった都市だそうです。
 わたしが訪れた時は高級マンションがぽんぽん建設されていました。蛇口の地価メチャメチャ高いみたいで、手付金だけで日本円にして3000万越えなお部屋もあるみたい。

 

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(これは信じられなくエモく撮れたフェリーの写真です)

 

 建築物がシムシティみたいなかんじで、ちょっとデコボコして複雑な、違法建築の香りを感じる(そんなことはもちろんないですがわたしの主観としてです)景色でした。
 そこからホテルに向かってチェックインし、広東料理をいただきました。一応北京ダッグも作れるみたいで、北京ダッグも食べましたが、無知蒙昧で、広東料理が魚介系ってことすら知らなかった。

 

 スイカジュースを頼んだのですが、ほんとにスイカの果汁だけでできているみたいな自然な甘さでびっくり。百合根をきくらげとセロリで炒めたものもいただいたんですが、百合根を食べるのははじめてでワクワクしました。なんとなくほの甘いような味…?

 中国だとこりこりした食感のために使われているのかな、日本だと生でたべられるお店もあるんだそうです。日本で百合根はほとんど生産されていなくて北海道の一軒の農家のみで、月光百合根ってなるものを育てているとかどこかで読みました。ちょっと風雅ですよね。

 

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(ホテルからの風景とかです これは父)

 

 それにしてここまでワイファイ通じないと思っていなくて、ポケットワイファイ忘れるの怖くて、もってききてないの後悔してばかりです。ぜんぜん連絡つかないし…ホテルのワイファイ弱すぎるし…
 でもホテルはいいホテルでした。あんまり期待はしてなかったんですが、日本のセミスイート並みの広さがあり、お風呂も豪華でびっくり。蛇口のはずれらへんなので、土地が安いんでしょうか…
 この日はちょっと読書をしたのち、11時に就寝。

 

 


<2日目>
 朝食はホテルのバイキングで食べました。オートミールとスイカジュース、卵焼きとベーコンとあんまんをいただきました。オートミール食べたの久しぶりでついお代わりしちゃった。

 

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(二日目の朝食)


 東莞市の可園なる清代の高官官僚の館跡へ見学に。南国の暑さのなか、父の知人の説明をうけつつ大きくぐるっと巡りました。なにしろ暑くて父がノックダウンされ、1時間くらいで帰ったのでざっくりみて回った感じです。

 

 

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 南方のお家なので、つくりが唐破風やモザイクの壁など、日本の沖縄調でした。正確には南方中国の様式が日本に伝わったのですが。獅子舞や豪奢な透し彫りなど、沖縄でみた装飾の原点になったものだろうなと推測。

 

 中国は南になればなるほど開放的で熱を通さないつくりになっているそうで、建物の床や椅子も大理石、扉は正面の門を以外ほとんどなく、開放されていて熱気と湿気を逃すつくりです。装飾なども木を中心に彫り込んだものが多く、石のオブジェは細身で、書画も花や鳥などを細かく書きこんだものが多いんだとか。花鳥風月ってやつですかね。とはいっても近代の建物なので、建築様式自体が古いのではなく、昔のものを下敷きにしたものでしょうが。

 

 むかし金瓶梅という中国四大奇書を読んだことがありますが、開放された石造りの館や果物の描写といい、きっと南方が舞台だったのだなあと感慨深い気持ちになりました。昔読んだものをこんなことで思い出すとは。ちなみに、北は石を彫り込んんで装飾し、椅子などは木材が中心だそうですよ。
 しかしこうしてみると日本の建築様式なんかは時代が古くなればなるほど、中国の様式をまるごといただいた、唐風のつくりが多いなと思わされますね。平安神宮も唐破風ですし。

 

 気候は四月とはいえ、薄曇りで風もなく、なまだるい、肌にへばりつくような熱帯の空気が充満している感じでした。高校生のときフィリピンに旅したときを思い出すような、南の国独特の、まとわりつくような湿気です。
 なにもしなくても汗が出てきて、なんとなくだるく、逃げられないでいるうちに逃げる気を無くしてしまう感じ。南の人は往往にしておおらかというか細かいことは気にしない人が多いイメージですが、これは気候も関係しているんだろうなと。

 熱帯の環境のなかにいると、抵抗する気を失うくらいからだが動かないので、怠惰とか性質とかそういうものを超えた人間を生温くする力が土地全体に漂っているのかもしれない。あと街がシムシティっぽい。

 

 

 

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 車で1時間半ほど移動し、アヘン戦争で舞台になった虎の門アヘン戦争の博物館へ。気が狂うほど暑くて、車と自転車とバイクと人が練り歩いているような道を通りました。しかも道々の両端に屋台が置かれていてココナッツジュースや海鮮の焼いたのや(とにかくわけわかんないソース降っとけばいいと思ってる)や宗教の聖典なんかが売られてました。縁日みたいだね。

 

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 博物館内や見学中、見回りの人が死ぬほど大声で叫ぶので、怒られたような気分になりながらめぐりました。特別展は女性の髪飾り特集。オタクがみんな好きなやつです。いつか自分もこれつけてみたいよね、わかるわかる。
 わたしは近代の思想史を卒論にしようと考えていますが、こう考えると近代都市ばかり巡っていますね。まあ歴史の浅いところが多いだけなのかもしれないが、香港も歴史の比較的新しい都市ですし。

 

 

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(これは香港のビルの街並み)

 フェリーで香港へむかい、ネイザンロードのネオンを歩き、ディナーにフカヒレスープや、あわびやくらげサラダなどをいただきました。ふかひれスープにはたぶんかぼちゃが入っていて、味が濃くてメチャメチャおいしいかった。

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 香港はとにかく夜の長い。2時まで人やお店が開いていて、外は暑くてがやがやしていて、貧富の差もすごく、ペニシュランホテルの通り違いには物乞いの人たちがいたりと、日本の都会よりももっと生々しく、もっと熱くてあまだるい、気力と疲労が空気の中で階層をつくっているかんじの都会でした。

 フィリピンの熱気は子供の肌の暑さに似てましたが、香港の暑さは都市特有のぐるぐるした空気がまざりこんでいるかんじでした。

 あとエレベーターがめちゃくちゃに早い。音速。

 ほかの国やほかの都市は、自分の知っている肌感覚や時間の流れがちがうのがたのしいよね。

 長すぎるので、3日目と四日目は後編にて。

 

karoyaka.hatenablog.com

 

追記 安室さんのことを書いた記事がちょこっと取り上げられたみたいで、普段雑記ブログなのでなんだか恥ずかしいような気持ち……